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株式会社アティックプラニング インタビュー

株式会社アティックプラニング

代表取締役
五味 啓 氏
住所
渋谷区宇田川町10-2 第2野口ビル 1F
事業内容
広告業/飲食業
株式会社アティックプラニング

創業について

創業して、今期で3年目です。独立するまで、大手企業で7年、ベンチャーで7年、主に広告の仕事をやってました。
最初に西麻布にカフェを出したときは、前の会社に勤務しながらで、平日は、パートナーに店を任せて、自分は土・日に店に立つという感じでやってましたね。 その店を3年運営して、飲食店経営のノウハウを掴んだので、2店舗目を渋谷に出したんです。 2店舗を運営しながら会社勤めは難しいということで、そこから会社を辞めて、フリーの広告プランナーをやりながら、店舗運営をやるようになりました。 現在は広告業もやりながら、渋谷に2つ、恵比寿と新宿御苑に1つずつ店を展開していて、もう1つ新しい店を渋谷に出そうと準備しているところです。

店舗展開ついて

飲食をやっている人というのは、二つのタイプに分かれると思っているんですけど、一つは、自分が現場に立つ人ともう一つは自分が現場に立たない人。 現場に立つ人というのは技術を持っているので、ありがちなパターンがオーナーシェフですね。立たない人というのは、えてして店を増やしたがる傾向がある。 そういう人って2店舗、3店舗は最低でも持ってますよね。 僕の場合は後者のほうに分類されると思うんですけど、店舗展開することで、会社を上場させたいとか、金持ちになりたいとか、決してそういう気持ちでやってる訳ではないんです。 今後も、コンスタントに出店をしていきたいとは思っていますが、その理由は2つあります。1つは、店を作るプロセスが純粋に楽しいということ。 もう1つは、優秀なスタッフが育ってきたり、入社してきたりしているので、そういうスタッフに見合った環境を整えて、力を存分に発揮させてあげたいなと思っていること、この2つです。

オリジナルへのこだわり

飲食業という商売で儲けようと思うのであれば、フランチャイズビジネスをやればいいと僕は思っています。 そのほうが成功へのロジックが出来上がっているので。 技術提供もしてくれれば、素人でもそれなりの食材を提供できますし、看板に知名度があるのでお客さんも集まります。 一方、オリジナルでやる場合、自分でお店の名前を決めて、コンセプトを決めてとやっていくと多大な労力がかかる。 また、出す店一つ一つに個性を作りだすので、それを現場で働くスタッフとか、店の内装や看板を作るデザイナーとか、関わる人間全てに共有させなければならない。これもまた非常に骨の折れる作業です。でも、これができるのも 「好きだから」。 これ以外の何物でもないですね。

物件探しのポイント

独立して 飲食業をやろうと思う場合、通常は1階の路面店から探していきますよね。
何故かと言うと、空中階の成功方法というものがあまり紹介されていなくて、書籍なんかでも「空中階で商売をやると負けます」みたいな空気があるんです。 例えば、お客の呼込力を数値にした場合、路面店の集客力を10として、2階の店舗だと6、3階以上でエレベーターがあると4だとすると、上に行けば行くほどお客の呼込力がなくなっていく事を意味します。
つまり空中階っていうのは視認性が悪く、お客さんも見えないお店に入るのには勇気がいるので、流行らせるのが難しい、ってことです。 でも、それだから1階・路面店でやらないと勝負にならによ、という結論にはならないと思うんです。6くなら6の、4なら4の勝負の仕方があって、僕はそこに勝算を見出しました。 キーワードは「好立地悪条件」。立地は良いんだけれど、条件が悪い物件ですね。例えば、JR山手線の内側で、徒歩圏内で、角地で、人通りの多い場所、これが好立地。 薄暗くて急な階段を上った4階だとか、ほとんど看板が出せない雑居ビルの8階だとか、2階にヘルスが入っていてるビルの階段を上って4階だとか(笑)、これが悪条件。 「好立地好条件」だとみんながほしい場所なので当然に賃料が高い。
僕は賃料が高い飲食ビジネスをやるつもりが無いので、賃料を抑えるには、「好立地悪条件」か「悪立地好条件」に狙いをつけるしかない。 駅から歩いて20分という立地(悪立地)であれば、角地で1階・路面店(好条件)でも賃料は安い。 そのやり方で成功しているお店をたくさん知ってるけれど、それは僕がやろうとしていることではない。 僕のスタイルは、誰もが「飲食店は無理だろう」っていうような物件に、魂を吹き込んでいくんです。 実際に、アティックルーム(2番目に出した渋谷宇田川町のカフェ)の物件を借りようとしたときは、みんなから反対されましたし、その時の不動産屋さんからも「絶対に失敗するからやめたほうがいい」って断言されましたからね(笑)。
それでもインスピレーションで借りました。そういう意味では、アキヨシさんに紹介してもらった今度出す店(渋谷宇田川町に近々オープン予定の「AKAKAGE」)は、イレギュラーですね。 申込時に、他の飲食店さんと競合したのは初めてだし、以前のテナントが飲食店だった物件に入居するのも初めてだし、路面店ですしね(笑)。

失敗の経験は

もちろんあります。僕も最初から勝てる店を作れたわけではありません。
最初に出した西麻布のカフェは失敗だったと思っています。
失敗といっても赤字を出して経営が行き詰ったという訳ではなく、僕が思い絵書いている店を作れなかったという意味で失敗だったかなと。 このお店も、先程お話した二つのタイプ(現場に立つオーナーと現場に立たないオーナー)の前者であれば、成功なんでしょうけれど、僕が目指すところは、後者なので。 自ら店に立つと立たないとで大きく違うのは人件費です。
僕の変わりに人を入れるということは、店長クラスを入れるということで、そうすると人件費に30万円くらい出でしまうことになる。 カフェという商売は、人件費のたった30万円くらいで、赤字か黒字かの分岐点になってしまうぐらいの薄利の商売なんです。 つまり客単価が安い商売なので、人件費に30万円掛かるか掛からないかは、運命の分かれ道なんですね(笑)。 西麻布のカフェもランチで3回転してましたし、いつも混んでるような繁盛店だったんです。それでも、僕の代わりになる人を入れると決めた瞬間に、赤字になることは明白でした。 それで、初期投資を償却して利益が確定した時点で、その店は閉めたんです。 3年で閉めましたが、このお店のお蔭で「飲食店とは何たるか」を全て学びましたね。

突き抜けた瞬間は

アティックルームを作ったときに分かりましたね、店が軌道に乗るというのがどういうことなのかが。 (売上の)波の乗り方が全然違いましたから、西麻布のカフェとは。
その違いは分かりやすくて、夜にお酒を飲むお客さんが来てくれるか、来てくれないかです。 カフェをやっている限り、昼に満席になっていたとしても、夜にお客さんが来てくれなければ、大きく儲かることはまずない。 アティックは夜の売上が出ますし、しかも一時は行列ができるまでになった、カフェなのに。 ここで初めて、「店が当たる」とはどういうことを言うのか知りましたね。 それで、溢れたお客様を誘導することもできるだろうっていうことで、近くにアストラルランプ(夕方の5時から深夜3時までのカフェバー)を作ったんです。 そこも、オープンから半年ぐらいで火がついて、今やどちらも簡単に入れないお店になってしまいました(笑)。

勝てるお店を作るには

自分が行きたいお店を作ることです。 自分が興味ないのに、儲かりそうだからとか、今流行っている業態だからとか、そういう理由だけで店作りをしても成功しないと思いますよ。 仮に成功したとしてもつまらないでしょ、そういう作り方だと。
極端な話をすると、自分が毎日でも行きたいと思えるお店を作って、お客さんが来なかったら、自分が毎日メシを食いに行こう!という様なお店を作れるかどうかだと思います。 僕は、一つとして同じネームでのお店をやるつもりはないんですけど、「僕が愛せる空間、僕が愛せるサービス、僕が愛せる食事とドリンク」というコンセプトは、どの店も一緒です。 店に置く家具を全て「 6時間座っても疲れないイスとテーブル」にしているのも、そういう理由からです。
あえて、お客さんに長居してもらっても良い様に作ってますからね。 だから、回転率悪いですよ、僕の店は(笑)。 どの店も、見つけにくい場所にあって、入るのに勇気がいるにもかかわらず、それでも見つけて来てくれるお客さんには、ゆっくりしてもらいたいという感謝の気持ちを込めてそうしてるんです。 これは、勝つためにはこういう風にしなくてはならないよ、と言っているのではなくて、あくまで色々ある方法の中の1つです。 勝てるお店を作るということは、自分の狙いを支持してくれるお客さんをたくさん作る、ということとイコールなんです。

勝てるお店を作るには

飲食業の話が中心になりましたけど、うちの会社は飲食業と広告業との売上がちょうど半分半分で、どちらも本業になるんです。
これまでは、その2つの業務間にはシナジーが全くなくて、バラバラのことをたまたま一つの会社の中でやっている感じでした。
つながりと言えば、せいぜい得意先の接待をうちのお店でどうぞ!って言うぐらいで(笑)。
でも最近は、デザインチームが3本目の柱に育ちつつある。 デザインチームは、飲食部門の看板だとかショップカード等のデザインもやれば、クライアントからの依頼で広告のデザインもやる。
ちょうど二つの業務をつなぐ役割になってきています。 デザインチームがどんどん大きくなってきて、3本柱のバランスが崩れずに伸びて行くうちは、今の体制に大きな変化はないでしょうね、人が増えて規模だけ大きくなっていくというだけで。 ただ、遠い将来はどうするか分かりません。
僕には色々なアイディアがあって、そのアイディアが事業として成立して楽しいものであれば、飲食業を辞めてしまうかもしれないし、あるいは広告業のほうを辞めてしまうかもしれないし、もしかしたら両方とも辞めてしまうかもしれない。 将来的に思い描くことは、今、温めているアイディアと僕が力を注いでやってきたことに、シナジーをどんどん生み出していいって、新しいことに積極的にチャレンジしていくことです。

アキヨシ産業へのメッセージ

アキヨシさんには、本部のオフィス探しのときもお世話になりましたし、色々とお世話になってますね。 僕も色んな不動産屋さんとお付き合いしてきましたけど、その中でもスマートな業者さんだと思います。 それと不動産オタクな人も多いですね(笑)。 今後もお力をお借りしたいときがあると思いますので、そのときはまた、よろしくお願いします。

アキヨシ産業より

アティックルーム、自分もよく使わせてもらってます。 渋谷で良い店教えて!とよく聞かれるのですが、その時に真っ先に名前を挙げるお店の1つです。 色んな人が、色んなブログで絶賛してますね。まさに渋谷通が通う隠れ家カフェの代表的存在なのではないでしょうか。 夜なんか、入れたためしがありません。その訳が、お話を聞いて、よーく分かりましたね。狙い目は、平日の昼間です。比較的、ゆったりと時間が過ごせますよ。


取材日:08.4.19  取材者:及川貴義

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